2020年05月03日

2020 暖冬の萬世大路

令和元年、冬。
今年はMRが初めてこの道を訪れてから本当に最も少ない積雪であった。
と言うか、令和元年の内に寝雪に成る程の積雪はなかった。
それ自体が地球温暖化の証の様な気候だ。
栗子峠も雪害に喘いで100年も苦労してやっと念願の高速道路を通してみれば、雪が降らないのだからこれはもう地球に嫌がらせでもされてるのでは?と勘ぐってしまう程である。

明けて令和2年、正月。
相変わらず市内に雪の便りは途絶えている。お山は、まあ雪兎が出来そうな程度に降ってるが、そもそも気温が暖かい。零度辺りをうろついて、指先が効かなくなる程に冷えない。SNSにバイクで万世(現国道13号栗子ハイウエー)から上がった旨の情報が入る。

「来週、来襲するか?」

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だが不幸に、と言うか1月予定日は雪、やっと麓の福島市にも雪のシーズンが来た。実に一ヶ月遅れという福島気象台始まって以来の遅さ。しかし長続きせずにダラダラとした冬でいた。
こちらも1月のクセに勢い仕事が忙しい。それでも中頃から落ち着いて来たのでアタックしてみることにした。
事によると二ツ小屋隧道まで行けるかもしれない。氷筍が見れるかも?と思ったら俄然行きたくなる。ま、そこは落ち着いて観れたらいいなぁ程度にしておこう。

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当日は結局午後から、早くも寒くないし栗子トンネルまで路面に雪もなくがっかりするほどあっさり到着する。わざわざ車で運んだのに、自走でも良かった気がする。
普段の冬なら第一栗子トンネル脇の沢には除雪されて捨てられた雪が換気口まで届いているのに、今年は殆どない。真冬なのに森の木々は秋の風情のままだ。
入口である高速のシン・栗子トンネル排気口管理道にも雪の壁が出来ておらず、フツーの車高のエブリィで難なく入り込める。旧飯坂スキー場入口は排気筒横の擁壁を車で上がる。普通の人はここで車を置くが中にはスバル系AWD車で登るツワモノも居る。
擁壁の上には「HP我が大滝の記録」管理人率いる「萬世大路保存会」所有のジムニーやら慶虎やらが置かれている。
排気筒建屋脇のカメラのない所に置いた車からKLX125を降ろし、装備を整えて出発。
がっつり走れば二つ小屋隧道まで15分かからないが、単独の雪道、まあ倍は観ておくか?写真を撮って出発。
駆け上がるとジムニーのトツゲキしたタイヤ痕やバイクのトレッド、10数人の足跡がある。カンジキで直登した痕もあるな?

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撮影後、圭子ちゃん(KLX125)のタイヤの空気圧を1,0に落としてスタート。
幸い道路部分は一部土も露出していたので難なく登ってゆく。かつての飯坂スキー場をかい潜って道は北東に進んでゆく。日当たりの良い所はすっかり雪解けして完全に路盤が露出、見事な泥濘となって待ち受けていた。

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ま、同じ滑るなら雪の方がいいかな?汚れなくて。

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やがて元スキー場の国有林借り受け地を抜けた道は本来の旧13号国道に辿り着く、昭和40年の現栗子ハイウエー開通以前の砂利転圧路面の旧道である。旧道は現国道13号バイパスから見える旧新井沢橋から7連のヘアピンを介して登って来て、この三叉路でスキー場からの道が突き当たる。
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この辺から根雪となる三叉路には新井沢橋に向かう右側には保存会が置いた簡易ゲートが残る。バイクはまるでヘアピンに回り込むように左折して登ってゆく。何台かの車がここで引き返している。
ここを通過し、先の大岩のヘアピンをターンすると、お馴染みの直線だ。ここは雪が積もると、明治謹製昭和改修の本来の6m幅道路が現れる。高さ1m程の手積みの石垣が一直線に並ぶ道路の三分の一の道にタイヤの跡が1組残ってる。

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この辺から寝雪の深度が増して、KLXの進行速度が落ちてゆく。
先に車が一台行ってないと、正直登れなかった感じだ。流石に125ccでこの登坂は桃色吐息だな?ウチの圭子ちゃんも。
その先のターンはちょうど流水があるらしく、白い道路にぽっかりと川が出来上がっていた。幸いそんなに水量もなく、泥濘んでもいないので助かる。そして寒くなった気もする。

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体感温度が下がっている。
バイクもいよいよ押しが入る状況なのにそんなに暑いと感じないのだ。単純な九十九折を登ってゆくと、直線の先にダブルトラックの主を見つけた。普段は下に置いてある慶虎である。

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と言う事はあそこが二ツ小屋隧道手前のコーナーかな?それにしても近年はトンネル内に工事車両を置いていたのだが、外に置いて置くとは隧道がさすがに危険なのか?と勘ぐってしまう。

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もう10年以上前から危ない、崩れると言われ、実際に内部崩落や翼壁の崩壊が起こっている二ツ小屋隧道。しかしながらそれらは皆北抗口で、明治天皇の休憩した南側抗口は殆ど無傷?だ。ちょっと違うが常磐線も抗口の重厚な意匠は南口、つまり東京側が多い。
ここに国家の威信の様な物を感じるMRである。
「着いた」

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MRが考えうる万世大路最強の遺構、二ツ小屋隧道である。ちなみにベスト2は新井沢橋、三位に栗子隧道と考える。歴史的に高位の栗子隧道が俺的に一位ではないのは、貫通してないから、通行不能だからである。

高い翼壁もなく尾根に対する絶妙な配置と線形で雪が溜まりにくくなる秀逸な構造。おかげで抗口前は驚くほどに積雪がない。
写真を撮っていると、保存会の人たちがピラー周りの排水路をレンガで作り直しているではないか?流石の補修であるが、勝手に大丈夫なのか?。
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入り口から冷気が抜けてくる。中はまだ氷点下だな?これだけ冷えてれば、或いは・・・・?カメラを構えつつ、ゆっくりと洞内に突入する。
「おおっ凍ってるぞ!」

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真っ先に目に飛び込んで来たのは、壁伝いにカーテンの様に凍ってる氷柱だ。でもダークさんやおばらさんが撮影してた直径の半分以下だナ。
まだまだ暖かいと言う事なのか?

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フロントタイヤがガリッという音で異常を知らせ、そのいかにも氷を踏んだ様な感触とともにライトで照らすと砕け散った氷の残骸が洞内に散らばっていた。
どうやら一度は氷筍の形になろうとしたらしいが、その後の暖冬で溶けて倒れてしまった様だ。ライトに怪しく照らし出される氷柱の残骸とスライムの様に地面に隆起する氷の塊。

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スタンディングで周りをよく見ながら慎重に氷を避けて進むと出口付近は氷の瀑布もささやかに、普通に水が滴り落ちていた。

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外に出ると、去年より北抗口西側の翼壁の崩れがさらに大きく抜けていた。これも台風19号の仕業だろうかと訝しむ。

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そして冷気の源である北側の積雪は1mも無い。これじゃ氷筍はできないだろうな?北から吹き込む大量の冷気が洞内温度を引き下げて凍るのに、肝心の冷却装置が少なすぎる。
「え?もしかしたら鳥川橋まで行けんじゃね?」

ズボ!呆気なく立ち往生したKLX125で記念撮影した後、改めて洞内撮影して帰るMRでした。
毎年、こうなっちゃうのかなぁ。

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posted by みちはてな at 08:44| 福島 ☁| Comment(0) | 道路遺構のミニレポ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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